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ひとりごと【アジアアロワナ専門店 ラフレシア】

VOL .13



ポンティアナのディナミカカプアス養殖場

多くのお客様から「メタルとダイナミックの違い」に関するお問い合わせを頂きます。
言葉で色、形を伝える事は容易では無い事でありますが、ディナミカにおけるメタルレッドとダイナミックレッドを、もう少し詳しくご説明する必要があると感じています。
1990年代よりカリマンタン、ポンティアナにて本格的にアロワナを繁殖しているディナミカでは、F4も採取され始まっています。今後、メタルのF4の入荷が増えれば、3世代の紅龍達が輸入される事になります。そこで一度、ディナミカ・カプアスの池の様子や歴史を少しでもお伝え出来れば、ディナミカが紅龍を養殖するにあたり、どの様な道を歩んで来たかをご理解頂けると考えました。


まずはディナミカ・カプアスの創設者ヒヤンの紹介から

ディナミカ・カプアスのヒヤンは当初我々と同じアロワナマニアでした。
ガラスサッシ職人であった彼は、自宅に50匹もの紅龍を単独飼育していたとの事です。

「当時の私の仕事は水換えだったよ(笑)。」
彼は昔の事を振り返って、ニコニコ笑って話してくれた。

「まず、朝起きて水替えを始めるんだ。 毎日、暗くなる位には終わるかなぁ〜」
おいおい。仕事はど〜したぁ〜!?

今回の「ひとりごと」は、そんなディナミカ養殖場をちょっと紹介したいと思います。

趣味で飼育していた50匹のアロワナを池に放ち「PT.ディナミカカプアス」がスタートしました。
勿論、養殖場としてスタートするにはあまりにも少ない数であった為に、ワイルドを数多く導入しました。
ヒヤンは自らポンティアナ・カプアス川を上り、気に入ったワイルド個体を捜し廻ったとの事です。

「一度、船でアロワナ探しに出かけると、2週間は家に帰らなかったよ(笑)。」
なんとも羨ましい話ではありますが、アロワナが好きじゃないと出来ない事ですよね。
説明を始める前に、押さえておいて頂きたいポイント
ディナミカカプアスは紅龍の原産国インドネシアのカリマンタン島のポンティアナにあります。
ディナミカは紅龍を入手、繁殖するにあたり、最高の立地条件であった。「紅龍はインドネシア産が一番!?」
紅龍は、カリマンタン島を流れるカプアス川とその支流にのみ生息していました。養殖場はその川岸に作られ、カプアス川の水を水門によって出し入れしています。
昔、カプアス川上流でワイルドの紅龍を捕獲した漁師は、川を下りポンティアナにアロワナを売りに来ていました。
アロワナを食用として捕獲し生計を立てていた漁師でしたが、観賞用として中国人に販売した方がお金になる事を知った為です。
恐らく食用として売っていた時のアロワナの価格は、1キロ 数百円であったと思われます。あくまで想像の数字ですが、漁師が一ヶ月働いても月収 数千円前後だと思います。カリマンタンの上流地域の物価を考えれば、家族が食べて行く事が出来る金額であったでしょう。
ポンティアナに売りに出されたアロワナを選び一番抜き出来る環境にあった事は、品質向上には最も重要な事です。
水、紅龍の入手の容易さなどを考えても最高の立地条件であったと言えます。
「とにかく漁師から買いまくったよ!出来るだけ多くを買って、要らない個体はすぐに売ってしまった。」
「私が現金で大量に買うから、当然漁師は一番最初にアロワナを持って来る様になった。」
漁師も食用とは違い、生きた魚を売る訳ですから、早く現金化する必要があった筈です。1匹1匹売り歩く事は大きなリスクであったに違いありません。以前の100倍〜1000倍の価格で販売出来る様になったアロワナですが、死んでしまえば1キロ数百円ですから・・・・。


ディナミカカプアスはお金持ち?!
いやらしい話ではありますが、重要な事でもあります。
以前「ヒヤンってお金持ちだよね?!」って失礼な質問をした事があります(笑)。
彼はあっさり笑って「私は金持ちだよ(笑)。」って答えてくれました。
話には続きがあって「我々中国人がインドネシアで生きて行く為には、お金が無いと話にならない。」
インドネシアに住む中国人の数は、人口の1割以下。しかし、その1割以下の人達がインドネシア経済の約70%を仕切っています。
こう書くと悪者っぽい感じになっちゃいますが、逆の言い方をすれば中国人が居るからインドネシア経済が成り立っているとも言えるのです。

話を戻して、アロワナを養殖する上でお金が無いと土地も親魚も買えません。アロワナを維持するにも大金が必要なんです。当然な事ですが重要な事でもあります。
皆さんも「もっと大きな水槽が欲しい。」「もっとアロワナが欲しい。」と思う時があると思います。
現実問題、お金や日本の住宅事情、時間、手間などを考えるとアロワナ飼育数を増やす事は容易ではないでしょう。しかも手に入れた個体を長期飼育するという事は、アロワナを購入するよりも経費が掛かります。
当然インドネシアにも不景気は存在します。苦労して入手した親魚を手放す事もせず、健康に管理する事は並大抵の事ではなかったと思います。すべてはアロワナの為に・・・・。

1990年代 前半〜
趣味で飼育していた個体とワイルド個体を池に投入。
他の養殖場へ売却
池上げ時に親魚を選別し、不要魚を売却します。

*バンジャールレッドの池にスーパーレッドを混ぜて、バンジャールの質を上げたのもこの頃です。
スーパーレッドの池
1990年代前半、ディナミカ・カプアスではスーパーレッドの池は大きな一つで、池の水位を落とすのに約半日の時間を要した。ヒヤンは「明らかに設計ミスだった・・・。」と言っていました(笑)。
*当時はメタルレッド、ダイナミックレッドなどのランク分けがありませんでした。
ディナミカ養殖場




カリマンタンのストック場


採取された個体の一部を育て池に戻す。
カリマンタン島ポンティアナ ストック場
*輸出、販売のアロワナの他に、育成選別して池に戻す作業を10年繰り返した。ディナミカの基盤となる個体達である。
*書籍「ダブルドラゴン」に掲載されていたのが、この当時の個体です。
国外輸出用 インドネシア
ローカル販売用


親魚が大きくなるにつれ、生産量が年々増加したディナミカ・カプアス
ヒヤンは今後の方向性を選択する事になる。

二つの選択肢
質重視 池はそのままの大きさを維持し、質の向上をはかる。
量産 池を増やし、大量生産を行なう。 
ポンティアナでアロワナを趣味で飼育していたヒヤンは、量より質を求め理想のアロワナ造りに専念する事を選ぶ。サイテスの関係で一時輸出が禁止され、大量に個体がストックされた事もレベルアップに一役買った。皮肉な話である。

*1986年頃より養殖をスタートした割には、池が小さく少ないのもこの為です。


1990年代 後半〜
他の養殖場へ売却
池上げ時に親魚を選別し、不要魚を売却します。

養殖場全体の広さは変わっていないので、池の密度を保つ為にある程度の親魚を売る必要があったのも事実である。


スーパーレッドの池
スーパーレッドの池
1990年代後半、スーパーレッドの池を2つに分ける。
*メタルレッド、ダイナミックレッドなどのランク分けの始まりです。

大きな池を仕切る


採取された個体の一部を育て池に戻す。
カリマンタン島ポンティアナ ストック場
*スーパーレッドを個別に繁殖させた為に、ストック場が手狭になってきた。輸出の合理化をはかる為に首都ジャカルタにストックルームを建設を計画。
国外輸出用 インドネシア
ローカル販売用

さらなるレベルアップ

例えばマニアの方が水槽で10匹の紅龍を混泳していたとします。水槽はこれ以上の匹数を入れる事が出来ない状態。
新たな良い紅龍を手に入れれば、選別し不要な個体を下取りに出したりすると思います。
全体的なレベルを上げる為には必要な事であると言えます。


更なる品質向上の為の手段。

採れた子供を池に戻し、池上げのたびに悪い親を池から出してしまう選別が行なわれて来たが、更なる品質向上を求めるには池に限界があった。
より細かい基準にて親魚を選別し、池のアロワナを二つに別けた。


「スーパーレッドには24種のタイプが存在する!」
ヒヤン氏をただの魚好きのオヤジではないと思った瞬間であった(笑)。

2000年代 前半〜
他の養殖場へ売却
池上げ時に親魚を選別し、不要魚を売却します。
ダイナミックレッドの池
メタルレッド
F3の池
稚魚を育て池に戻す
親のレベルを上げる為に採れた子供の一部を戻す。
*厳密に言えばジャカルタのストック場から再度空輸で戻されます。
新たな池
メタルレッド、メタルレッドF4、ダイナミックレッド専用として新たに池を用意。管理、機能面でも格段にパワーアップした。

小さな池が無数に並ぶ
ダイナミックレッド
メタルレッド F3
メタルレッド
F4の池

カリマンタン島ポンティアナ ストック場

採取されたアロワナを育て、輸送できるサイズまで管理

選別作業
ストックしているアロワナを1匹1匹、色、形、健康状態をチェックし選別。マイクロチップを挿入する。
ジャカルタのストック場
カリマンタンより送られて来た個体を育成させる。アロワナの選別もここで行ないます。
輸入

ラフレシアに入荷
ジャカルタのストックルーム

2000年に入り首都ジャカルタにストックルームを建築しました。
新しくストック場が出来た事で、より安全にアジアアロワナを輸出できる様になりました。設計の段階で関わらせて頂きましたので、選別のし易さも良い感じです。
採れたアロワナをカリマンタンのストック場で管理し、出荷サイズになった時点でジャカルタのストック場に送ります。空港からは2時間かかりますが、山が近い事もあり、この地域の水が1番良かったとの事です。大きさは体育館より大きい位です。

養殖場の敷地を3倍の大きさに拡張。
以前のポンティアナの養殖場に隣接する土地に新たに池を造り、池を増やしました。
基本的には紅龍専用の池で、以前の池よりも浅く、小さく、数多く造られました。これは機能性は勿論の事、個体のグレードを管理する上で大きなメリットになると思われます。


簡単ではありますが、日本より遠いカリマンタン、ポンティアナでのアジアアロワナの池の様子を感じて頂ければ、嬉しく思います。ディナミカ・カプアスは今後も進歩、進化を続けて行く養殖場だと思っていますし、それを強く望んでいます。

以前、ヒヤンと朝までアジアアロワナについて語り合った事があります。
「せっかくカリマンタンまで来たんだ。眠ってしまうには勿体ないだろ?!」

最後にヒヤンが言った事を今でも忘れません。

「アロワナって楽しいよな!」

すべてはこの言葉に詰まっていると、今でも思っています。







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