ラフレシアTOP ひとりごと 夢のアルビノ繁殖計画

ひとりごと 15
夢のアルビノ繁殖計画!?

アルビノ・アジアアロワナ、昔は実物どころか数枚の写真でしか目にする機会は無かった。
「いつかはこんなアロワナが欲しいなぁ~」業者であっても入手するには様々な難関がある。現実問題圧倒的に生息数が少ない。当然価格もスーパーヘビー級で人間の常識を超えた鬼の様な価格で取引されている。当然アルビノなんて夢のまた夢と考えていました。過去日本に輸入されたアルビノは2匹、台湾や中国がアジアアロワナを解禁していない時代の話である・・・。

簡単に入手出来ない理由
*東南アジアの養殖場で年間数十万匹とアロワナの繁殖が行われているが、アルビノの出現率は砂漠の中の砂の様・・・。
*全世界の愛好家、養殖場が入手を望む為に高額
*仮に所有者がいても売りたがらない。(通常は養殖場が所有)
*どこの養殖場で出現するか分からないので、出現した時に取引がある養殖場もしくはコネが効くかがポイント。
*ノーマル個体に比べデリケートで入手にある程度の覚悟が必要
*輸入リスクが高い。輸入時の死着保障が無い事が多い。

アルビノ・スッポンモドキ
アルビノは様々な生体に出現します。有名な所で白コリやウサギ、グッピーなどを先頭にワニ、孔雀、イルカ、イグアナ、ライオン、カメ、ヘビ、ディスカス、ネオンテトラ、ゴリラ、猿、そしてアジアアロワナ・・・・。数え上げたらキリがない。
「albino」で検索して頂くとその種の多さに驚かされる。出現しない生物は無いのではないかと思う位である。勿論人間も例外ではなく、全世界に何人ものアルビノの方がいらっしゃいます。

アルビノ・過背金龍
そんな中とてもラッキーな事にアルビノを入手する機会に恵まれた。通い続けていた養殖場でアルビノが出現したのである。上記画像がその個体であるが養殖場の好意で18cmまで育ててもらい、その後個体に奇形等の問題が無い事を確かめ輸入を行った。この間数回マレーシアへ足を運び、成長と餌食いなど全てにおいて念入りにチェックした。
当然この時点でこの個体から繁殖を行い、アルビノを水槽内で繁殖させてみたいと考えていました。入手するにあたり一番気にした事がベースが過背金龍である事である。勿論オスメスの判別がつけばベストであるが、ここは運を天に任せるしかないと諦める・・・。過背金龍にこだわったのには大きな訳があった。アジアアロワナの中でも水槽内繁殖に一番向いているからである。まずは成魚のサイズが他の種よりも小さく、水槽内での繁殖に向いている事と多種に比べ成熟する年齢が若いからである。レッドに関しては原産地でも5年以上の年月がかかる。しかし、過背金龍は2歳半から繁殖が可能だからである。今までの日本での繁殖成功例を見ても圧倒的に金龍がらみの成功が多い。この事から考えても繁殖を狙うには過背金龍か紅尾金龍が有利である事に間違いはない。


アルビノ・カニ喰い猿
アルビノを繁殖させる為にはいくつかの難関があります。
画像はアルビノの猿ですが、大きな問題があります。そうです。親はアルビノでも子はノーマルなのです。優勢の染色体が出て劣勢の染色体が現れない為で、アルビノの親から産まれても子供は黒目の個体が産まれます。(厳密に言えば100%ではないのですが、哺乳類やアロワナの様に子供の数が少なければまず出現しません。卵の数が数百〜数千となると出現する可能性もアップ!)子供はアルビノの遺伝子を引き継いだヘテロ(黒目)と言う事になります。ですから入手したアルビノのアロワナからアルビノを繁殖させる為にはF2まで繁殖させないと、アルビノを出現させる事が出来ません。過背金龍の繁殖が3年からだとすれば、順調に繁殖が出来たとしても最低6年の歳月がかかる事になります。この年月が長いか短いかの判断は人それぞれだと思いますが、アルビノのアジアアロワナを入手できるのであれば、これは短い年月だと個人的には考えています。

アルビノは凶暴?!そんな事を聞いた事がありませんか?!理由は単純でアルビノは視力がノーマルに比べ弱い為で、防衛本能から凶暴化して身を守ります。蛇のアルビノに同じ様な事が言え、ノーマル種に比べ人間を噛みに来る事が多く何度も痛い目をみています。昔好きで蛇の繁殖をしていた事がありますが、この時も餌を出しているのに手に向かって噛みに来る個体が多く、悩ませてくれました。アロワナにも似た様な事が言え、とにかく喧嘩が強く混泳のリスクがあります。勿論混泳を行ってアルビノが弱いのでは、余計に問題ではありますが・・・笑。


アルビノからアルビノを繁殖させる為にはどうすればいいのでしょうか!?
分かり易くご説明致します。(難しく説明できません・・笑。)
アルビノ(赤目)は
「aa」、ノーマル(黒目)は「AA」、ヘテロ(黒目)は「Aa」と言う遺伝子を持っています。親から「a」を一つずつ貰って「aa」として産まれたのがアルビノになります。ラフレシアのアルビノの両親は黒目ですので、「Aa」と「Aa」から産まれた「aa」、もしくは「Aa」と「AA」から産まれた突然変異の「aa」になります。両親が「AA」でそこから産まれた突然変異である可能性もありますが、アロワナの様に卵の数が少ない場合、確立から言っても両親共に「a」があったと考えても良いでしょう。親が黒目で子がアルビノ、上の猿と同じパターンです。ヘテロは黒目である為に、アルビノの遺伝子「a」を持っている事を外見上は知る事が出来ません。たとえばちょっと体色が違うとか、目の色が変わっていると言った事も無く外見上はノーマルです。上の小猿は「Aa」ですが、普通の猿と外見上は変わりがありませんね。

ラフレシアのアルビノの系統は下記の表の「aa」になると思われます。
アルビノの遺伝子を持ったヘテロ同士から産まれたアルビノ個体。
表1 Aa
Aa AA Aa
Aa aa
注:確立から言えば25%がアルビノになる筈ですが、そこまで甘くありません。あくまでも確立ですので・・・。

ノーマル AA 黒目
ヘテロ Aa アルビノの遺伝子を持った黒目
アルビノ aa アルビノ(赤目)
上記ノーマル、ヘテロ、アルビノと各色で示します。

この写真みたいな雰囲気と言う事ですね・・・・

1匹のアルビノからアルビノを繁殖させる為には、F2まで進ませなければなりません。「ヘテロ同士」もしくは「ヘテロとアルビノ」のいずれかの組み合わせでの繁殖を行う必要があります。勿論、日本にこれだけアロワナが輸入されているのですから、アルビノの遺伝子「a」を持った個体も多くいるでしょう。皆さんが飼育されている個体がヘテロである可能性も大いにあります。しかし、外見上の差はありませんので、それを2匹探し出して繁殖させる事は不可能であります。ですから、下記の様にアルビノ「aa」とノーマル「AA」を繁殖させてヘテロ「Aa」を出す必要があるのです。片親にアルビノを使用すれば、全ての個体に「a」が入りますので、外見上はノーマルでもこれでOKのはずです。
表2 aa
AA Aa Aa
Aa Aa
仮にこの組み合わせでヘテロを繁殖させる事ができれば、あとは表1、もしくは表3の組み合わせを行えれば完璧です。表1の場合25%、表3で50%のアルビノ出現率です。

表3 aa
Aa Aa Aa
a aa aa

アルビノアジアアロワナの混泳
話を少し戻して、ラフレシアのアルビノはオスなのでしょうか?!メスなのでしょうか?!実はこれが大きな問題点なのです。残念ながら現時点では正確にオスメスの判別がが出来ていない状態です。ではオスメスどちらがアルビノの作出に向いているのでしょうか?!数人のお客様に「オスメスどちらが良いと思いますか?!」と聞いた事があります。その際に多くの方が「メスでしょ!?」とのお答えでした。実はハズレです(たぶん・・・笑)。これは僕個人的な考えですが、向いているのはオスだと思っています。アロワナは簡単にポンポン繁殖出来るものではありません。産卵してもとにかく失敗する方が断然多いですよね?!現状では数をこなしてその中で成功を掴むしかありません・・・。仮にメスであった場合、最高で年4回のチャンスしかありません。しかも一度産んでその後2〜3年産まないなんて事もざらにあります。しかし、オスであれば産卵が近いメス全てと掛け合わせる事が出来る為に、体調次第で年間20回以上は卵を咥えさせる事が出来る筈です。勿論現地の様に1ヶ月以上咥えさせれば12回のチャンスですが、人工孵化であればその回数は飛躍的に伸びるのです。昔、養殖場の社長さんが「人工孵化が出来れば生産量が上がるのに・・・。」と言っていた事があります。オス待ちのメスが多いって事です。オスって繁殖にはとても重要な役割を果たしています。卵を持ったメスが産まないのは多くが「オスが上手く役割を果たしていない」事が多いと考えています。この辺も少し研究中(と言ってもたいした事はしていない)ですが、何か分かればまた機会を見てお話出来ればと思います。


久々の更新でしたが、またネタがあれば更新しますね!