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VOL .8

水槽内繁殖1

アジアアロワナが夢の熱帯魚であった時代は終わりを告げ、比較的入手も簡単でポピュラーな種へと変貌を遂げました。価格の安定と共に輸入量も増え、アロワナを混泳で楽しまれている方も多いと思います。そして今、アジアアロワナの新しい楽しみ方の一つとして、水槽内繁殖が上げられると思います。最近では一部の愛好家より繁殖成功の話を耳にする様になりました。まだまだ未知数な部分も多いアジアアロワナですが、ぜひとも繁殖に挑戦してみてはいかがでしょうか?!今回原稿を書くにあたり現地養殖場オーナーにもお話を伺い、参考にさせて頂いています。僕の経験、日本国内外の情報をまとめてみたいと思います。このひとりごとを読んで、一人でも多くの方からの成功例を聞ける日を楽しみにしています。

アロワナの口を開け卵を取り出す

1.親魚の確保

繁殖に適した個体にはいくつかの条件があります。「健康で肥満個体ではない事」健康である事に説明は要らないと思いますが、肥満になったメスは抱卵した時に、上手く産卵出来ない場合があります。最悪、死に至った例もあり、突然死個体の腹部を裂くと、成長しきった卵が大量に出てくる場合が多いのです。これは卵が成熟しきっているのに、産卵に至れなかった為である可能性が高いと考えています。産むべき時期を逃した卵が、腐乱を起こした事が原因の可能性も否定出来ません。「成熟している個体である事」産卵に適した年齢は、若くとも金系で3歳以上、紅龍は5歳以上と種類によって違います。現地の養殖場では、その様な若い個体は養殖池には入れておらず、ストック用の池で飼育されています。これは彼らが経験から「若い個体は採取不可」と判断しているからで、池上げ時に効率良く作業を進める為でもあります。オスの場合は成熟にプラス1~2年の年月がかかります。   

2.水槽のサイズ

「水槽内繁殖に適した水槽のサイズ」正しくは「水槽内繁殖が可能な必要最低限の水槽のサイズ」と記載すべきですが・・・。現地の養殖池から比べると、我々アクアリストは、小さなコップでアロワナを飼育している様なものです・・・。養殖場のオーナーが「水槽内繁殖は難しい」と考える要因がここにあります。設備費、住宅事情などを考えても同じ規模の飼育施設を用意する事は不可能ですが、可能な限り大きな水槽を用意した方が、より成功確立は上がると思われます。話を戻し、いったいどの位のサイズがあれば可能でしょう?!ペアリング方法にもよりますが、最低1500×600×600が必要であると言えると思います。ペアが出来た場合には隔離する事が必要になってきますので、最低もう一本同サイズ以上の水槽が必要になります。

アロワナ混泳

3.オスメスの判別法

残念ながら明確な性別の判別法がありません。唯一、外見に差があるとすれば肛門部分、頭部の作りにあると思われます。オスの頭部は子供を咥えるのに適した作りになっていて、左右に大きく開く作りになっています。正面から見た時にエラが張っている様な感じです。メスの肛門部分はオスに対し大きな作りです。ただし個体差もありますから、この方法で100%の判別は出来ないとお考え下さい。鳴く個体がオスである確立は高いのですが、繁殖時期になるとメスも鳴きます。他の熱帯魚に見られるヒレの大きさによる判別は出来ないと思われます。以上の様な事は、飼育者が判断する参考になるとは思います。僕がペアリングを行なう時に重要視するのは、混泳での個体の仕草です。飼育者がオスメスの判別をつけるのではなく、アロワナの行動によって判別する方法です。これが一番簡単で確実な方法だと考えています。人間は目で見てオスメスを判断しようとしますが、アロワナ同士は臭い、音などで判別していると思われます。勿論、目で見て異性を探す事も行なっているでしょうが、嗅覚を活用していると思います。抱卵した個体は明らかに臭いが違うでしょうし、透明度の無い生息地で卵を持つメスを探すのに、鼻は重要な働きをしています。皆さんも餌を与えたが「鼻先で臭いを嗅ぐ仕草」だけで、捕食しないでそっぽを向かれた、なんて事があると思います。これは餌を目で判断したのでは無く、臭いを嗅いでいる証拠ではないでしょうか?!目だけで判断するのならば、餌の傍まで寄る必要は無いからです。人間には感じる事の出来ない水中の微妙な臭い、音を彼らは感じ取り異性を見つけているのです。その能力を目で見る事で、判別が可能だと思います。泳ぎ方、他の個体への接し方、喧嘩の仕方、テリトリー争い、微妙な仕草ではありますが、それが一番のヒントなのです。

4.ペアリング方法

ペアを作る事は、比較的容易と言っても過言ではありません。混泳で順調に飼育していれば、飼育者が望まなくとも自然にペアになるケースが多いからです。ただし付け加えなくてはならない事もあります。混泳は水槽に多くの個体が入っていた方が、より安全に飼育出来ます。しかし、水槽内が過密になり過ぎるとテリトリー意識も薄れますので、ペアリングには逆効果になる場合もあります。多少喧嘩が起こりテリトリーを持てる位で、なお且つ安全な範囲の混泳が要求されるわけです。無事ペアが出来たならば、他の個体をすべて別の水槽に移します。水槽のサイズに余裕があるのでしたら、仕切り板で分けて様子を見るのも良いでしょう。ある程度飼育中の個体の状況、性別を把握出来る様になってくれば、人間がタイミングを合わせ、ペアを作る事も可能です。より高度な観察力が要求されますが、最終的にはこの方法がベストだと思います。

5.ペアリング行動

オスは気に入ったメスを見つけると、盛んに擦り寄り身体を震わせながら、鳴く様になります。鳴く頻度は個体に寄って様々ですが、日に1~2回位から数十回位です。「泣き声が聞こえるの?!」との質問を良く頂きますが、静かな部屋の中なら2~3m離れていてもハッキリと「ブ~!」と言う音を聞く事が出来ると思います。泣き声はちょうどウシガエルの様な鳴き声です。擦り寄り以外にも、オスはメスに対し盛んにアプローチをかけますが、一見すると喧嘩の様にも見えます。アロワナ同士の喧嘩、威嚇行動は口を膨らませ胸ビレを下げ、相手の胸ビレと尾ビレを主に攻撃対象とします。お互いの尾を追い、その場でグルグルまわるのです。それに対しペア行動は尻ビレ、肛門部分への甘噛みで、致命傷に陥る様な攻撃ではなく、産卵を促進させる為の行動であると言えます。寄り添い2匹で底に沈んでいる事も、ペアリング行動の一つです。オスはこの様な行動を取りながら、メスの卵の成熟を促し、産卵までの機を待つのです。アジアアロワナは学術上では一種とされていますが、明らかに種類によって違いがあります・・・。色を始めとし、繁殖能力や生態系までもが違います。産卵がまじかになってくるとメスの腹部に膨らみが生じますが、毎日しっかり観察しないと分からない場合もあります。


過去、僕にとって「アジアアロワナを繁殖する事」は夢でしたが、今は伸ばせば手は届く夢であったと思っています。良く見る事、良く考える事、努力を惜しまない事、そして絶対に諦めない事で、必ずその時は訪れる事を保障致します。第一回目の今回は繁殖の準備にまつわる話でしたが、次回は産卵、人工孵化、人工保育を中心に、紹介したいと思います。年々繁殖事例が聞かれる様になってきましたが、現在分かっている最新の情報をお届けいたします。お楽しみに。


 


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