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ひとりごと【アジアアロワナ専門店 ラフレシア】

VOL .9





アロワナマニアの究極の夢、水槽内繁殖
長く険しい道のりの先には、最高の達成感と喜びが待っている事は間違いないでしょう。連載第二回目の今回はより一歩先に進んだ繁殖について書きたいと思います。

1.繁殖行動と相性

ペアリングが上手くいくと、様々なペア行動を見る事が出来ます。擦り寄り、甘噛み、鳴き声を聞く事も出来るでしょう。しかし、安心してはいけません。ここまでで水槽内繁殖の20%をクリアしたに過ぎません。言い換えれば、混泳で数年飼育すれば簡単に達成出来る準備段階でしかありません。

良くお客様より「ペアになれば2匹で長期間飼育を続ける事が出来ますか?」と質問を頂きます。
答えは「NO」です。タイミングと相性が合えば、長期間の飼育が出来る場合もありますが、基本的にはある一定の期間を過ぎると喧嘩が始まる可能性が高くなります。これがアロワナ繁殖の難題の一つでもあります。

例えるならば人間と同じで、相性が良い異性とでも、たまに喧嘩しちゃうじゃないですか?!熱帯魚の中にはオスメスが揃えば簡単に子供が採れる種もありますが、アロワナは、2匹の相性が大きな要因を占めます。

*前回のひとりごと「3.オスメスの判別法」で飼育者がオスメスを判別しペアリングを行うよりも、アロワナに気に入った相手を選ばせる方法をとる。と書きましたが、この相性問題もこれでクリアする事が出来ます。もう一つヒントが有ります。仮にペアで2匹を長期間飼育出来たとしても、ペアを故意に引き裂く事も大切だと言う事です。
「何故?!」との声が聞こえそうですが、よりペア行動を強く深くする為に時には必要な作業と言えます。人間に例えるならば、毎日恋人に会うよりも、週末の限られた時間でのデートの方が充実した時間が過ごせ、より深い想いで相手に接する事が出来るのではないでしょうか?!

隣町の恋人より遠距離恋愛の方が、相手に強い想いを持つ事が出来る様に思えます。「ロミオとジュリエット」が同じ身分のお隣に住む幼馴染だったら、ベストセラーにはならなかったでしょう。

アロワナにも似た様な事が言えるのです。わざと仕切り板をしたり、別水槽へ移動したりします。数日してから再度2匹を会わせると馴れ合い的な行動が消え、再度燃えるような恋に落ちるのです。
アロワナは「相性」と一言では括れない、深い人間的な一面を持っているのです。

2.抱卵

メスは産卵が近づくと腹部がふっくらとしてきます。「明らかに卵が入っている。」と言うよりは「ちょっと太ったかなぁ〜」って表現の方が合っていると思います。残念ながらグッピーの様に、明らかに腹部がパンパンに膨れる事はないのです。

しかし日頃からの観察で飼育者が察知する事は可能です。エサの量と消化のスピードさえ把握してしまえば、腹部の膨らみが餌によるものか、抱卵かを判断する事が出来るのです。大量に餌を食べた後に腹部の鱗がずれ、鱗の白い部分が見える事があります。同じ様な症状が捕食を行っていないのに長期に渡り続くのです。同じ様に餌の量、消化を把握すれば、ふっくらした体型が肥満なのか抱卵なのかも容易に判断がつくのです。

混泳水槽などで腹部がふっくらした個体を見つけた場合、試しに数日餌を絶ってみると良いでしょう。数日で消化が進み、他の個体の腹部はへこみますが、抱卵した個体の腹部には、全く変化が無い事が良く判ります。

抱卵したであろう個体には、卵を作る為に重要なバランスの良い栄養を必要としています。

これは良質の卵と数を作る為に、大切な栄養源の確保と言えます。それは大量の餌を与えると言う意味ではありません。適切な餌を適度な量が一番良いと考えています。これも我々人間と同じ事が言えるのです。

3.産卵
アロワナのペアリング行動

産卵が間近になると、オスはメスの腹部、肛門部分への攻撃をより行なう様になります。これは明らかに産卵を促進させる為の行為であり、繁殖の山場とも言える時期です。

産卵はオスメスのタイミングの合った、静かな時間帯に行なわれる場合が多く、一瞬にして無数の卵が産み落とされます。産卵と同時にオスが卵に精子を掛けます。この間約10秒弱です。卵の数は個体の成熟度により異なりますが、40〜50個が一般的な数です。大きさは直径約15〜18mm位と大きめで、ビー玉よりも少し大きい位です。この時に上手く受精させる事が出来るか否かが、大きなポイントになります。
当然成熟したオスであればあるほど成功率は高くなると思われます。オスは底面に産み落とされた卵を、一個一個拾い上げ口に含んでいきます。咥え含むのではなく、掃除機の様に吸い込むのです。
拾い上げるのに要する時間は5分弱で、咥え切れなかった卵が有るとメスが食べてしまう場合が多い様です。これは残った卵を狙い、他の魚が集まって来ない為に行う行動だと思われます。

4.水槽と養殖池

自然界では2ヶ月弱もの期間、オス親は子供を口の中で育てます。しかし、水槽内では1週間以内で卵を捕食してしまう場合が殆どです。これは水槽という環境、無精卵、水質など様々な事が原因だと考えられていますが、ハッキリした答えは見つかっていません。

いつも「池ならばこんな事に悩む事はないのになぁ〜」と思っていました。

何故?!を解明するには、多くのデーターを必用とします。毎月の様に現地へ行き、池を見てはいますが、実際に池で繁殖を行なっている訳ではありません。この悩みを解決する為、日本よりタイへアロワナを輸出し、池を作り繁殖を行なって見ることにしました。実行するまでは、タイの気候で繁殖が可能かどうか?!が一番の疑問でしたが、グリーンが生息している事を考えると、大きな問題ではありませんでした。

結果は簡単に産卵まで行き着き、想像以上の成果だったと思っています。しかし、気持ち的には「やっぱり出来た・・・。」と予想通りの結果だった事が残念に思えたのも事実です。

現地の養殖場と水槽内繁殖、基本的には池での繁殖の方が容易だという事は事実でしょう。しかし、水槽が池より優れている点もあると考えています。まずは産卵日が正確に知る事が出来る事です。産卵日を把握出来た為に卵が孵化に要する時間が解明されました。

現在判っている事は産卵より4日〜5日目に孵化するという事です。水温を30度に設定した場合の日数です。31度でも実験しましたが、多少早くなる事が判りました。「最初に孵化する卵」から「最後に孵化する卵」の時間差が約24時間ありました。同じ水質、水温でこれだけの差が出た事には正直驚きました。

この日数は水槽内だからこそ、判り得る日数でもあります。現地の養殖池は繁殖には適していますが、正確な産卵日を特定する事は出来ないのです。

次に水質、水温、光量の管理が容易だと言う事です。養殖池は天候に採取が大きく左右されています。雨が多ければ水温が低下し、水質も安定しません。雨が少なければ海水が上昇し、卵を吐き出す個体も居るのです。しかし水槽ならば水温を任意に設定する事が出来ますし、水質もある程度管理できます。光量をつける事で、昼夜を作りだす事も可能なのです。光と温度差を合わせれば自然をより再現する事も可能なのです。

個体の健康状態を管理できる事も、利点の一つでしょう。池では仮に病気の個体が居ても見つけるのは並大抵な事ではないでしょうからね。

以上の様な池よりも優れた水槽ならではの利点も活用して、成功を掴み取ってください。







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